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シニアの住宅資金

退職前後に住まいの資金を借りる方法(日本)

50代後半からの住宅購入、退職後の建て替え、自宅を担保にした老後資金づくりまで、日本の住宅ローンとリバースモーゲージを年齢・返済・相続の観点から比べました。

日本の一戸建ての前で住宅ローンの資料を確認するシニア夫婦

50代後半から住宅ローンを組む、退職後に自宅を建て替える、あるいは持ち家の価値を老後の生活資金に変える。日本でシニアが住まいのお金を考えるとき、選択肢は通常の住宅ローン、親子リレー返済、そして自宅を担保に利息だけを払うリバースモーゲージの三つに大きく分かれます。どれが向いているかは、年齢そのものよりも、完済時年齢の上限、団体信用生命保険に入れるかどうか、そして相続人が自宅をどうしたいかで決まります。

このページでは、住宅金融支援機構のフラット35やリ・バース60、民間銀行のリバースモーゲージの仕組みを比べながら、60代・70代の具体的な借入額と月々の負担を試算します。審査で断られやすい理由と、借入れ以外の住み替え策もあわせて紹介します。

シニアの住宅ローンを決める三つの条件

住宅ローンは貸金業法の総量規制の対象外ですが、その代わりに各金融機関が「返済負担率」と「完済時年齢」で厳しく線を引いています。民間銀行の多くは完済時80歳未満を上限とし、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携するフラット35も、申込時の年齢が満70歳未満で、完済時の年齢は80歳までが原則です。返済負担率は、フラット35の場合で年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下と定められています。年金収入も年収として扱われますが、定年後は収入が下がるため、借入可能額は現役時代より大幅に減ります。

団体信用生命保険の年齢制限

民間の住宅ローンでは、団体信用生命保険(団信)への加入が融資の条件になっているのが一般的です。団信は契約者が死亡または高度障害になったときに残りのローンを保険で返済する仕組みで、加入できる年齢はおおむね申込時70歳未満、保障は80歳前後までとされています。持病があると一般の団信に入れないこともあり、その場合は保険料を上乗せするワイド団信や、団信加入が任意のフラット35を検討します。団信に入れないまま借りると、万一のときに家族が残債を引き継ぐことになるため、生命保険の見直しとセットで考えてください。

リバースモーゲージという選択

リバースモーゲージは、自宅に住み続けながらその家を担保にお金を借り、生存中は利息だけ、あるいは何も払わず、亡くなった後に自宅の売却や相続人の資金で元金を一括返済する仕組みです。たとえば東京スター銀行の「充実人生」は、利払いのあるタイプで55歳以上84歳以下、年金などの年収が120万円以上の人を対象とし、生活費や医療・介護費、老人ホームの入居資金などに原則自由に使えます。利払いのないタイプは70歳以上が対象です。ただし変動金利が上がれば毎月の利息が増え、地価が下がれば借入枠が見直される可能性があり、長生きするほど残高が積み上がるリスクもあります。

リ・バース60の特徴

住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供するのが「リ・バース60」です。SBI新生銀行の例では、申込時に満60歳以上であることが条件で、資金使途は自宅の建設・購入、住宅ローンの借換え、リフォーム、サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金などに限られ、生活費には使えません。毎月は利息だけを払い、元金は契約者の死亡後に相続人が一括で返すか担保物件を売って返します。売却額が残高に届かなくても、残りを相続人に請求しないノンリコース型が選べるのが大きな安心材料です。融資額は8,000万円が上限で、担保評価額の50%または60%などの基準と比べて低い方となります。

項目通常の住宅ローン(フラット35など)リ・バース60銀行のリバースモーゲージ
年齢の目安申込時70歳未満、完済時80歳まで原則60歳以上55歳以上など商品により異なる
毎月の支払い元金と利息利息のみ利息のみ、または支払いなし
資金使途住宅の取得・借換え住宅関連に限定生活資金も可の商品が多い
元金の返済返済期間中に完済死亡後に一括、ノンリコース型あり死亡後に相続人が一括返済
主なリスク年金生活での返済負担金利上昇で利息が増える金利上昇、担保価値の下落、長寿

年齢別の試算

62歳で退職金を受け取った人が、2,000万円の中古マンションを購入するために住宅ローンを組むとします。完済時80歳という上限から逆算すると、返済期間は最長18年です。金利年2.0%の元利均等返済なら、毎月の返済額は約11万円になります。年金収入が年額260万円の場合、年間返済額約132万円は年収の約51%にあたり、返済負担率の基準を大きく超えるため、このままでは通りません。頭金を増やして借入額を1,000万円に抑えれば、返済額は月5万5千円程度まで下がり、年収の約25%に収まります。

一方、68歳の夫婦が築30年の一戸建てを1,500万円かけて建て替える場合、リ・バース60を使えば毎月の支払いは利息だけです。仮に金利を年3%とすると、1,500万円の利息は月額3万7,500円になります。元金は二人とも亡くなった後に自宅を売却して返す設計なので、子どもが実家を相続しない前提であれば、年金生活でも建て替えを実現できます。ただし金利が上がれば利息も増えるため、年4%になった場合の月5万円でも払えるかを確かめておくことが欠かせません。

シニアの住宅ローンが通らない典型例

申込みまでの進め方

  1. 年金の見込み額と退職金、預貯金を一覧にし、自己資金をいくら入れられるか決める。
  2. 完済時年齢の上限から返済期間を逆算し、返済負担率に収まる借入額を計算する。
  3. 団信の告知内容を確認し、加入が難しければワイド団信や団信任意の商品を探す。
  4. リバースモーゲージを検討する場合は、自宅の担保評価を複数の金融機関で比べる。
  5. 配偶者や子どもと話し合い、担保設定と相続後の扱いについて同意を得ておく。
家族と話しておくべきこと

リバースモーゲージやリ・バース60では、契約者が亡くなった後に相続人が元金を返すか、自宅を手放すかを選ぶことになります。配偶者が住み続けられる条件、相続人の返済期限、売却額が残高を上回った場合の扱いを、契約前に家族全員で確認しておくと、相続時の混乱を防げます。

借入れ以外の住まいの選択肢

ローンが難しい場合でも、住まいの問題を解決する方法はあります。自宅を売却して同じ家を賃貸で借り続けるリースバックは、まとまった資金を得られる一方、家賃の支払いが続き、将来の買い戻し価格が高くなりがちな点に注意が必要です。低所得の高齢世帯であれば、社会福祉協議会の不動産担保型生活資金という公的な貸付もあります。子どもと協力できるなら、親子リレー返済で後継者が返済を引き継ぐ方法も検討に値します。住み替えを考えるなら、自宅を売って小さな住まいに移る方法も選択肢に入れてください。

住宅ローンとリバースモーゲージのよくある質問

65歳でもフラット35を借りられますか? 申込時の年齢が満70歳未満であれば申し込めます。ただし完済時80歳が上限なので、65歳なら返済期間は最長15年程度となり、毎月の返済額が大きくなります。

リ・バース60で借りたお金を生活費に使えますか? 使えません。資金使途は住宅の建設・購入やリフォーム、借換えなど住宅に関するものに限られています。生活費が目的なら、銀行のリバースモーゲージを検討します。

マンションでもリバースモーゲージを使えますか? 東京スター銀行の「充実人生」のようにマンションを対象に含む商品もありますが、担保評価に下限があり、地域によっては対象外になることもあります。

リバースモーゲージの契約者が亡くなったら、配偶者は住み続けられますか? 商品によっては、配偶者が改めて審査を受けて借り換えることで住み続けられる仕組みがあります。契約時に配偶者を対象に含めておけるかを確認してください。

持病があって団信に入れません。どうすればよいですか? 引受条件を緩和したワイド団信を扱う金融機関に相談するか、団信加入が任意のフラット35を選び、別途の生命保険で万一に備える方法があります。

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